专利摘要:
本発明は、形状記憶ポリマーをプログラムする方法に関するものである。上記形状記憶ポリマーは、少なくとも1つの熱相転移と共有結合及び/又は非共有結合の架橋点を有する少なくとも1つのスイッチングセグメントをもち、上記形状記憶ポリマーは、プログラム後に、プログラムされた一時的形状から永久形状に転移することができ、これは少なくともスイッチング温度に相当する温度まで温度を上げることで起こる。本発明によると、上記発明は、(a) 所望のスイッチング温度 (Tswitch, Tσmax) に応じてプログラム温度(tprog) を予め決定する工程と、(b) 上記形状記憶ポリマーを、予め決定したプログラム温度 (tprog) まで加熱し、上記ポリマーを、強制成形状態にしつつ一時的形状に相当する形状へ転移させる工程と、(c) 上記ポリマーを、強制成形状態を維持しつつ、上記所望のスイッチング温度(Tswitch, Tσmax) 未満の温度まで冷却する工程とを含む。2
公开号:JP2011513506A
申请号:JP2010544694
申请日:2009-01-29
公开日:2011-04-28
发明作者:カール クラッツ;ウルリケ フォイクト;アンドレアス レントライン;ヴォルフガング ワゲルマイヤー
申请人:ヘルムホルツ−ツェントルム ゲーストハハト ツェントルム フュアー マテリアル ウント キュステンフォルシュンク ゲーエムベーハー;
IPC主号:C08G18-42
专利说明:

[0001] 本発明は、少なくとも1つの熱相転移と共有結合及び/又は非共有結合の架橋点を有する少なくとも1つのスイッチングセグメントをもつ形状記憶ポリマーをプログラムする方法に関するものであり、プログラムの後には、少なくともスイッチング温度に相当する温度にまで温度を上げた後、形状記憶ポリマーはプログラムされた一時的形状から永久形状へ転移することが可能である。]
[0002] 形状記憶ポリマー(SMPs) は、適切な加工熱処理後に少なくとも1つの定まった一時的な固定形状(A) をとる能力とスイッチング温度を超えるまで素材温度を加熱した後に元の (永久) 形状 (B) に戻る能力を有する。熱誘導による形状記憶効果を示す形状記憶ポリマーは、共有結合ポリマーネットワーク(例:熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂)、熱可塑性エラストマー(例:マルチブロックコポリマー、ポリエステルウレタン) 又は混合物(ポリマー混合物) 及び上述した熱可塑性樹脂類の複合体のいずれであってもよい。]
[0003] 形状記憶ポリマーは、少なくとも1種類の、一時的にプログラムされた形状 (A) を固定するためのスイッチングセグメントと元の永久形状(B) を安定化するためのネットワークポイントから、分子レベルで構成されている。ネットワークポイントは、物理的性質又は化学的性質(共有結合の架橋) のいずれであってもよい。熱可塑性形状記憶ポリマーの場合、スイッチングセグメントは所謂ハードセグメントを介して互いに結合しており、樹脂の物理的融解や完全な型崩れはハードセグメントの転移温度を超えることで引き起こされる。ポリマーが、異なるスイッチング温度をもつスイッチングセグメントを2種以上有するなら、理論上、2以上の一時的形状をプログラムすることも可能であり、これは連続加熱により連続して引き起こすことが可能である。これついては今日でも可能ではあるが、2つの形状転移(即ち、2つの一時的形状) のみが実現されている。]
[0004] 熱形状記憶効果をもつ形状記憶ポリマー及びその複合体において、スイッチング温度(Tswitch 又は Tσ,max) を設定するためには、ポリマーの化学的変更、特にスイッチングセグメントの化学的変更と、それに付随した転移温度(Ttrans) の変化が今日まで必要とされていた (例: Lendlein 及び Kelch, Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 2002, 41, 2034-2057; Behl 及び Lendlein, Soft Matter 2007, 1, 58-67) 。ガラス転移温度(Ttrans = Tg) をもつアモルファススイッチングセグメントの場合、転移温度の設定は、例えば、コポリマースイッチングセグメントにおけるコモノマー比率を変更すること (Lin 及び Chen, J. Appl. Polym. Sci. 1998, 69, 1575-1586) 又はスイッチングセグメントの分子量を変更することによって行われる (Lin 及び Chen, J. Appl. Polym. Sci. 1998, 69, 1563-1574; Takahashi外, J. Appl. Polym. Sci. 1996, 60, 1061-1069; Choi 及び Lendlein, Soft Matter 2007, 3, 901-909) 。他方で、融点(Ttrans = Tm) をもつ半結晶スイッチングセグメントのケースでは、例えばポリ-ε-カプロラクトンの場合、転移温度はスイッチングセグメントの分子量を変更することによって、設定することが可能である (例:Lendlein外, J. Polym. Sci., Part A: Polym. Chem. 2005, 43,7, 1369-1381; Kim外, Polymer 1996, 37, 5781-5793) 。]
[0005] これまでの解決策に存在する欠点は、固定スイッチング温度が各スイッチングセグメントで調整されることであり、そして上記スイッチング温度がスイッチングセグメント又はスイッチングセグメントとハードセグメントの比率を化学的に変更することによってのみ変化し得ることである。即ち、新しいポリマーを合成しなければならない。従って、形状記憶ポリマー又は複合体が1種類の場合に、種々のスイッチング温度の設定を可能にする方法が望まれている。]
[0006] 所謂温度記憶は、ポリマーPVA (これ自体に形状記憶特性はない) 及びその中に組み込まれているカーボンファイバー(カーボンナノチューブ、CNT) からなる形状記憶複合素材の場合にのみ、検出し得た (Miaudet外.: Science 318 (2007), 1294-1296) 。これは、プログラムされた一時的形状から永久形状に転移が起こるスイッチング温度が、変形の起こるプログラム温度に依存することを意味する。特に、プログラム温度の上昇に伴いスイッチング温度の上昇が観察された。しかし、純粋な形状記憶ポリマーの場合は、そのような関係に当てはまらなかった。むしろ、熱力学的転移温度Ttransと回復温度の直接的な相互関係が、ここでは常に見られた。しかし、形状記憶がポリマーではなく粒子又は繊維に負うところがある、これらの複合素材の欠点は、回復温度が鮮明ではない、即ち、幅のある回復範囲ΔTrecで形状転移が起こることである。これは、スイッチング温度を大幅に下回る温度で回復開始が引き起こされるため、多くの用途では望まれていない。加えて、「温度記憶」に相当する性質は、金属形状記憶合金(SMA) に関しても説明されており、その性質は、不完全なプログラムサイクルを実施することで設定することができる (Zheng 外: Appl. Phys. Lett. 2004, 84, 31-33) 。]
[0007] 従って、本発明の目的は、形状記憶ポリマーの化学的又は物理的な組成を変えることなく、種々の予め決定したスイッチング温度を設定可能にする形状記憶ポリマーをプログラムする方法を提供することである。]
[0008] 本目的は、形状記憶ポリマー又はその複合体をプログラムする方法によって達成されるものであって、そのポリマーは、少なくとも1つの熱相転移と共有結合及び/又は非共有結合の架橋点を有する少なくとも1つのスイッチングセグメントをもつポリマーであり、プログラム後は、少なくともスイッチング温度(Tswitch, Tσmax) に相当する温度まで温度を上げた後に、プログラムされた一時的形状から永久形状に転移することができる。
本発明によるプログラム方法は、
(a) 所望のスイッチング温度 (Tswitch, Tσmax) の関数としてプログラム温度(Tprog) を予め決定する工程と、
(b) 上記形状記憶ポリマーを予め決定したプログラム温度 (Tprog) まで加熱し、上記ポリマーを、強制成形をすることで一時的形状に相当する形状へ変形する工程と、
(c) 上記ポリマーを、強制成形を維持しつつ上記所望のスイッチング温度 (Tswitch, Tσmax) 未満の温度に冷却する工程とを有する。]
[0009] 「温度記憶」をプログラムする本発明による方法を用いることで、所望の形状記憶ポリマー(又は形状記憶ポリマーを含み、形状記憶特性を有する複合体) にスイッチング温度を設定することが、スイッチングセグメントへの化学的変異なしに、特定の制限内で可能である。本発明の基本は加工熱処理であって、プログラム温度(Tprog)、即ち、変形をプログラムする温度が所望のスイッチング温度 (Tswitch, Tσmax) に従って変更される加工熱処理である。この方法は、目的とするプログラム温度を選択することによりスイッチングセグメントのスイッチングポイントを設定することによって形状記憶ポリマーのスイッチング温度を設定することが可能である。]
[0010] 本発明の文脈において、スイッチング温度とは、一時的形状から永久形状への形状転移が起きる回復温度を意味すると理解される。負荷のかからない条件下で回復が起こる場合は、スイッチング温度 Tswitch は、歪-温度曲線の変曲点から得られる。負荷のかかる条件下で再加熱する場合、即ち一定の形状の場合、スイッチング温度 Tσmaxは、応力-温度曲線の最大値に相当する (参照:各実施例) 。 本発明による方法は、純粋の形状記憶ポリマーに制限するものではなく、形状記憶ポリマー又は複数の形状記憶ポリマーとそれらに分散する粒子との混合物からなる複合素材にも適用することができる。粒子は特に、交番磁界で発熱する磁性体又は複合体に対してジュール加熱し得る導電体であってもよい。]
[0011] 形状記憶ポリマーに対して温度記憶の性質を生じさせる方法に関する実質的な発明は、形状記憶ポリマーをプログラムする方法に関する新規のパラメータ、即ちプログラム温度Tprogの採用である。これによりスイッチング温度の体系的な変化が可能になり、その範囲は少なくとも 20 Kの範囲内、特に少なくとも 30 Kの範囲内、一般的には50 Kの範囲内である。形状記憶を示さないポリマーとそれに含まれるカーボンナノチューブとを含む形状記憶複合体 (Miault 外 (上記参照) に記述) と比較すると、本発明による方法でプログラムされた形状記憶ポリマー及びその複合物は、実質的により小さい回復範囲ΔTrecを有することから、温度との関係で実質的により強く定まった転移を有する。このことは多くの用途にとって重要である。 従って、熱可塑性マルチブロックコポリマーの場合に約40 Kが得られ (参照:実施例1)、多相ポリマーネットワークでは、僅か約 15 Kの回復範囲ΔTrecが得られた (参照:実施例6)。]
[0012] ここで述べる温度記憶を生じさせる方法を用いることで、半結晶又はアモルファススイッチングセグメント及びその複合体を有する形状記憶ポリマーの場合に、プログラム中における温度を変えることで種々のスイッチング温度を設置することが可能である。 従って、例えば、温度センサー(実施例2も参照) を、そのスイッチング範囲内で再プログラムすること又は、プログラム温度の選択により種々のスイッチング温度を有する形状記憶ポリマーのセンサーを実現することが可能になる。]
[0013] 本発明は、今日まで示されていない形状記憶ポリマーの新規な機能である、温度記憶に関する方法を明らかにする。温度記憶は、プログラム温度を「感知する」 形状記憶ポリマーの能力であると言える。従って、形状記憶ポリマーのスイッチングセグメントに対して、プログラム温度を変えることで、初めて、形状記憶ポリマーに化学的な変更を施すことなくスイッチング温度を設定することができる。]
[0014] 本発明による方法についての好ましい構成に従うと、予め決定するプログラム温度(Tprog) は、プログラム温度 (Tprog) とスイッチング温度(Tswitch, Tσmax) との間の、実験的に決定した数学的関係を用いることで、計算的にもたらされる。ポリマーが種々のプログラム温度 (当然、スイッチングセグメントの熱力学的温度の範囲内又はそれを超える温度でなければならない) にてプログラムされ、その後、回復がポリマーの加熱により誘発され、そしてスイッチング温度が決定される一連の実験は、所定の化学物質である形状記憶ポリマーに対して、この目的で実施される。プログラム温度とスイッチング温度との数学的関係は、例えば、手動又は自動曲線適合方法により決定できる。本発明で実施した実験 (参照:各実施例) から、一般に、プログラム温度とスイッチング温度との間には、実質的な直線関係があるので、多くの場合、単純な1次関数の決定には所望のスイッチング温度の関数としてプログラム温度を予め決定することで十分であることが示されている。]
[0015] 本方法についての他の構成に従うと、予め決定するプログラム温度(Tprog) は、プログラム温度 (Tprog)とスイッチング温度(Tswitch, Tσmax)を含むパラメータ対を有する、実験的に決定された特徴的なダイアグラムを用いることでもたらされる。上述した通り、一連の実験を実施し、 決定したスイッチング温度を対応するプログラム温度に割り当てる。そして所要のプログラム温度を特徴的なダイアグラムから読み取ることで決定し、所望のスイッチング温度の関数として、特にコンピュータが読み込みできる形式で保存する。従って、不明確な中間値は、数学的補間による既知の方法で決定することが可能である。]
[0016] 少なくとも1つのスイッチングセグメントにおける熱力学的相転移温度Ttransの前後で少なくとも ± 20 Kの範囲、特にTtrans ± 25 Kの範囲、好ましくはTtrans ± 30 Kの範囲からプログラム温度Tprogを選択することを目的とすることが特に好ましい。2つのスイッチングセグメントをもち、故に2つの熱力学的相転移温度Ttrans,A及びTtrans,Bをもつ形状記憶ポリマーの場合、 プログラム温度 Tprogは、少なくとも Ttrans,A ± 20 K からTtrans,B ± 20 Kの範囲、特に少なくとも Ttrans,A ± 25 K からTtrans,B ± 25 Kの範囲、特に好ましくは少なくとも Ttrans,A ± 30 K からTtrans,B ± 30 Kの範囲から選択される。]
[0017] 本発明による方法は、個々の形状記憶ポリマーを複数回連続してプログラムすることを可能にし、種々のプログラム温度(Tprog) を個々のプログラムサイクルに用いることで、種々のスイッチング温度(Tswitch, Tσmax) が設定 (プログラム) される。形状記憶ポリマーの熱力学的履歴は、更なるプログラムに対して影響をおよぼさない、即ち、プログラム温度とスイッチング温度との関係は変わらないままであることを示すことができた。]
[0018] 本発明の更なる好ましい実施形態は、本発明によるプログラム方法を、組成が同一である複数の形状記憶ポリマーに対して実施され、それぞれの場合に異なるプログラム温度(Tprog) が個々の形状記憶ポリマーに対して用いられ、従って種々のスイッチング温度(Tswitch, Tσmax) がプログラムされる。この手順による結果物は、一時的形状を示し、同じ化学的性質ではあるが、種々のスイッチング温度を有する一連のプログラムされたポリマー(又はこれのポリマーから製造される成形品) である。]
[0019] 本発明は、特定の形状記憶素材又は形状に制限するものではない。例えば、無孔材又は多孔、開放気孔又は密閉気孔材は、形状記憶ポリマーに利用可能である。]
[0020] 本発明の更なる有利な構成は、独立項の要旨を形成する。本発明を、関連する図を参照すると共に、下記の各実施例でより詳細に説明する。]
図面の簡単な説明

[0021] Tprog = 55℃ (図1aと1c)、Tprog = 25℃ (図1bと1d) 、負荷のかかる条件下における回復(図1aと1b) 及び負荷のかからない条件下における回復 (図1cと1d) でプログラムしている間のPDLCLマルチブロックコポリマー(PPDL が40質量%) の応力-歪曲線を示す図である。
負荷のかかる条件下での回復中における、4つの異なるプログラム温度でプログラムしたPDLCL マルチブロックコポリマー (PPDLが50質量%) の応力-温度曲線を示す図である。
PDLCL マルチブロックコポリマー (PPDLが50質量%) について、プログラム温度 Tprog と負荷のかからない条件下 (四角) における回復に基づいて決定したスイッチング温度Tσ,max 及び負荷のかかる条件下 (黒丸) における回復に基づいて決定したスイッチング温度 Tswとの間の関係を示し、Tprog (垂直に分割し半分塗りつぶした四角) が増加する若しくはTprog (水平に分割し半分塗りつぶした四角) が減少する4連続のプログラムサイクル又は同様のTprog (中抜き四角と黒丸)であって3連続のプログラムサイクルの場合のいずれかでプログラムした場合の関係を示す図である。
種々の温度 (図4a と 4b: Tprog = 35℃; Tswitch = 42℃; 図4c と 4d: Tprog = 55℃; Tswitch = 56℃) で切り替え可能な感熱性成分を有する形状記憶ポリマー(PDLCLコポリマー、PPDLが40質量%) についての温度センサー実験に関する一連の写真を示す。
負荷のかからない条件下における回復 (上図) 及び負荷のかかる条件下における回復 (下図) 中の、3つの異なるプログラム温度でプログラムされ且つ半結晶PCLスイッチングセグメントを有するPDC マルチブロックコポリマーの歪-温度曲線 (上図) 及び応力-温度曲線 (下図) を示す図である。
負荷のかからない条件下における回復 (上図) 及び負荷のかかる条件下における回復 (下図) 中の、4つの異なるプログラム温度でプログラムされ且つアモルファススイッチングセグメントを有するテコフレックス(Tecflex) (登録商標) マルチブロックコポリマーの歪-温度曲線 (上図) 及び応力-温度曲線 (下図) を示す図である。
負荷のかからない条件下における回復 (上図) 及び負荷のかかる条件下における回復 (下図) 中の、種々のプログラム温度でプログラムした形状記憶複合物(半結晶スイッチングセグメント及びFeナノ粒子を有するPDC マルチブロックコポリマー) の歪-温度曲線 (上図) 及び応力-温度曲線 (下図) を示す図である。
40℃ 及び60℃でプログラムされ且つPDLCL マルチブロックコポリマー (PPDLが40質量%) を有する発泡体の回復中における歪-温度曲線を示す図である。]
[0022] これらの動向に加えて、形状記憶ポリマーは一時的形状(A) を保持することができ、更に外的刺激(例:温度上昇) を与えた後の形状である永久形状(B) を保持することができる。本発明は、熱誘導形状記憶効果を示すポリマー(その複合物を含む) に関する。]
[0023] 形状記憶ポリマーは、適切な加工熱処理の後に定まった一時的な固定形状(A) をとる能力とスイッチング温度を超えるまで加熱をした後に元の形状 (B) に戻る能力をもつ。熱誘導形状記憶効果を示す形状記憶ポリマーは、共有結合ポリマーネットワーク(例えば、熱硬化性樹脂,光硬化性樹脂)、熱可塑性エラストマー(例えば、マルチブロックコポリマー、ポリエステルウレタン) 又は混合物(ポリマー混合物) 及び上述した熱可塑性樹脂類の複合体のいずれであってもよい。]
[0024] 形状記憶の機能は、ポリマーにおける特定の分子構造と熱力学的状態の組み合わせによって得られる。最初の処理段階で、所謂永久形状のポリマーが最初に生成される。 次に、プログラム、即ち、一時的で明確な形状の生成が続く。一般的な形状記憶実験において、ポリマーをまず最初に温度 Tprog > Ttrans (スイッチングセグメントの転移温度; Ttrans = Tm 又は Tg) まで加熱し、当該温度で一時的形状に変形し、強制成形を維持しつつ、温度 T < Ttrans まで冷却する。更なる操作で、元の永久形状への回復は、Ttransを超える温度 (Thigh) に加熱することによってもたらされる。この回復は、負荷のかからない条件下又は予め決定した負荷のかかる条件下のいずれにおいても生じることが可能である。応力のかからない回復の場合は、特徴的なスイッチング温度Tswitch が、歪-温度曲線の変曲点(Lendlein及びKelch, Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 2002, 41, 2034-2057) より得られる。負荷のかかる条件下における回復の場合は、応力-温度曲線は、特徴的な最大値(Tσ,max) (Gal外, J. Biomed. Mater. Res., Part A 2005, 73, 339-348) を有する。Tσ,max は、加熱の際に生じる2つの対照的な過程により得られる。一つは、温度上昇による力の増加であり、もう一つは、温度が上がるにつれて樹脂の軟化が進行することである。]
[0025] 既に上述した、Ttransを超える一般的なプログラムに加え、さらに先行技術ではTtrans 未満で形状記憶ポリマーをプログラムする低温延伸法及び形状記憶特性についてのその対応する効果 (例:Ping外, Biomacromolecules 2005, 6, 587-592, 18-20; Mohr 外, PNAS 2006, 103, 3540-3545) が報告されている。]
[0026] 温度記憶を生じさせる方法は、形状記憶ポリマーの場合、今日まで述べられていない。「温度記憶」に相当する性質は、金属製の形状記憶合金(SMA) 及びカーボン繊維自身の形状記憶特性によるポリマー-CNT複合体(上記Zheng外又はMiaudet外を参照) のみが文献で知られている。]
[0027] 実質的な発明は、形状記憶ポリマーに対して温度記憶の性質を生じさせる方法であって、プログラムにおける新規のパラメータ、つまり、例えば50Kの範囲で体系的に変えられるプログラム温度の採用である。 温度記憶の調査を、半結晶又はアモルファススイッチングセグメントを含む種々の形状記憶ポリマーで実施した。操作の基本原理は、バルクの試験試料についてのポリ-ε-カプロラクトン(PCL) を基にする半結晶スイッチングセグメント及びポリ-ω-デカドラクトン (decadolacton) (PPDL) を含む半結晶ハードセグメントを有する直線のマルチブロックコポリマー(PDLCL) (実施例1)と発泡体についての上記マルチブロックコポリマー (実施例5) を例とする実施方法によって実証される。加えて、アモルファス形状記憶ポリマーの温度記憶は、市販のポリエーテルウレタンであるテコフレックス(Tecoflex) (登録商標) (EG72D) (実施例 3) での用例や半結晶 PCL スイッチングセグメントを有する、ポリエステルウレタンPDCに基づく形状記憶ポリマー複合体 (実施例4) 及び2つの結晶スイッチングセグメント (PPDLT-co-PCLT) を有する多相ポリマーネットワーク(実施例6) で示された。]
[0028] 実施例 1: 半結晶スイッチングセグメントを有するPDLCLマルチブロックコポリマー
合成:
実験のために、 スイッチングセグメントを種々の 割合で有する一連のPDLCLコポリマーを合成した。 合成は 、テレケリックマクロジオール(telechelen Macrodiole)ポリ-ε-カプロラクトン(Mn = 3000 g/mol; Tm = 42℃) 及びポリ-ω-デカドラクトン (Mn = 5600 g/mol; Tm = 84℃) と2,2(4),4-トリメチルヘキサンジイソシアネート(TMDI) を反応させることによって行った。 製造されたコポリマーについての特徴的なデータを表1に一覧として表示する。すべてのマルチブロックコポリマーにおいて、 2つの融解転移及び2つの結晶化転移が、DSCサーモグラムで観察された。このことが結晶PCL及びPPDLドメインの存在を示している。動的熱機械分析によって様々な温度で決定されたtanδ曲線のピーク最大温度(Tδ,max) が混合アモルファス相を示す。PDLCL マルチブロックコポリマーを次式で示す。]
[0029] ]
[0030] ]
[0031] PDLCLマルチブロックコポリマーの温度記憶:
PDLCL形状記憶ポリマーの温度記憶効果を検出するために、周期的熱力学実験を引張試験用試料(DIN EN ISO 1BBに従う) のポリマーについて、サーマルチャンバー (Zwick) を備える引張試験機で実施した。]
[0032] 形状記憶実験の実施は、試験試料を一時的形状に変換するプログラム方法と永久形状へ回復する形状記憶効果の誘発に分けた。回復の調査を、応力のかからない条件下と予め決定した負荷のかかる条件下とで行った。全ての実験は、3連続サイクルで行った。それぞれのサイクルはプログラムセクションと回復セクションを含んでいる。]
[0033] プログラムにおいて、いずれの試験試料であっても、最初にプログラム温度(Tprog,変数)まで加熱し、この温度で予め決定した歪 (εm = 150%,定数パラメータ) まで伸長させた。次に、強制成形を維持しつつ、Tlow = 0℃ (定数パラメータ)まで冷却することで一時的形状を固定した。プログラム段階における実質的な発明は、新規の変数パラメータであるプログラム温度 Tprogと、予め決定したスイッチング温度(Tswitch, Tσ,max)をもたらすための体系的変化の採用である。PDLCLコポリマーに対して、プログラム温度Tprog = 25℃、35℃、45℃ 及び55℃を、各ケースで用いた。]
[0034] 続く回復過程は、試験試料が元の永久形状に回復するためのものであり、回復温度Thigh = 70℃ (定数パラメータ) まで加熱することによって生じた。 ここでの測定した量は、スイッチング温度Tswitch 又はTσ,max であり、これは選択したプログラム温度Tprogより得られる。応力のかからない回復 (δ = 0 Mpa)の場合は、特徴的なスイッチング温度 Tswitch が、歪-温度曲線の変曲点から得られる。負荷のかかる条件下における回復の場合は、応力-温度曲線は、特徴的な最大値(Tσ,max)を有する。]
[0035] 図1は、典型的な応力-歪-温度曲線であって、応力のかからない回復(図1c と1d) 及び負荷のかかる条件下における回復 (図1c と1d) に対して、Tprog = 25℃ (図1b と1d) 及び55℃ (図1a と1c) におけるPDLCLコポリマー(PPDLを40%含有) の例を示す。点線は、それぞれ予め決定した温度計画に従う温度経過を示し、破線は、歪εの割合 (温度に応じた、強制成形をしたもの又は負荷のかからない条件下の結果のいずれか) を示す。そして実線は、測定した応力係数σを示す。プログラムの過程は図ごとに行われ、いずれの場合であっても0秒と約1000秒との間で行われる。そして次の段階である回復は、Thighへ緩やかに加熱することで起こる。]
[0036] 行われた全ての実験から、応力のかからない回復におけるスイッチング温度Tswitchと負荷のかかる条件下での回復における特徴的な最大値Tσ,maxの両方がコポリマーの組成に独立して設定することができ、PDLCLコポリマーの場合は、プログラム温度Tprog を25℃ から55℃の範囲内で選択することで可能になることが明確に示されている。平均結果を表2に一覧を表示し、これには製造された全てのPDLCLコポリマーであって、2つのプログラム温度Tprog = 25℃及び55℃に関するものを示している。このことから、スイッチング温度Tswitchは、33℃ から56℃の範囲内で、Tσ,maxは44℃から64℃の範囲内で、プログラム温度が上がるに従い変化することが明らかである。]
[0037] 調査した形状記憶ポリマーは、例外なく良好な形状記憶特性を示し、固定率(Rf) は、最も低いプログラム温度(Tprog = 25℃) で70から75%の範囲内、Tprog = 55℃で、90から100%の範囲内であった。いずれの場合も第二回目と第三回目のサイクルを平均化することによって決定した。回復率(Rr) であって、第二回目と第三回目のサイクルにおける回復率 (

) は、全てのコポリマー組成物が93 から98%の範囲内にあり、選択したプログラム温度とは無関係であった。]
[0038] ]
[0039] PPDLを50%の割合で含むPDLCLコポリマーの例における、種々の応力-温度曲線(プログラム温度25℃、35℃、45℃及び55℃)を図2の中で比較している (表3も参照) 。]
[0040] 負荷のかからない回復における補助実験において、形状記憶素材の温度記憶 (Tσ,max) における熱力学的履歴の影響を、PDLCL050 を例として調査した。この目的のため、実験中に、4連続サイクルにおいてプログラム温度を体系的に変更した。第一実験では、プログラム温度 Tprog が、サイクル数が増えるに従って体系的に上昇 (サイクル1 = 25℃、サイクル2 = 35℃、サイクル3 = 45℃、サイクル4 = 55℃) し、第二実験では、連続サイクルの間にプログラム温度が体系的に下がるときの効果を調査した (サイクル1 = 55℃、サイクル2 = 45℃、サイクル3 = 35℃、サイクル4 = 25℃)。]
[0041] 結果を表3及び図3に示す。全ての実験で、用いたプログラム温度と得られたスイッチング温度Tσ,max 又はTswitch (図3のTsw) との間に直線的な相互関係を見出すことができ、熱力学的履歴とは無関係であった。この結果から、転移温度としての融点(Ttrans = Tm) をもつ半結晶スイッチングセグメントを有する形状記憶ポリマーに対して温度記憶効果を生じさせる工程が普遍的で可能性のある用途である確証が得られる。]
[0042] ]
[0043] 加えて、温度記憶の「安定性」は、25℃と55℃でプログラムさせた各ケースのサンプルを、回復が誘発される70℃加熱の前に、7、14及び28日間、10℃で保持することにより調査した。それぞれの回復温度を、プログラム後、直ぐに回復させたサンプルの回復温度と比較した。25℃でプログラムしたサンプルも55℃でプログラムしたサンプルも、回復特性に差異を示さなかった。]
[0044] 可能性のある用途に関係する形状記憶ポリマーの温度記憶効果を実証するために、更なる実験を行った。プログラムした試験試料(上記参照) を温度センサーとして機能させ、回復に達すると赤色LEDに接続しているスイッチが入る実験装置を作製した。この実験は、2つの試験試料 (コポリマーPDLCL040) を用いて行い、異なるプログラム温度(Tprog = 35℃ 及び Tprog = 55℃) においてεm = 150% まで伸長し、この強制成形を維持しつつ冷却した。実験装置では、熱電対(Thermoelement) を試験試料 (温度センサー) の温度を測定するために組み込み、短い永久形状に転移する回復温度をその後の加熱で決定できるようにした。図4に示す通り、温度センサー (SMP) は、事前に選択したプログラム温度に応じた種々の温度でスイッチが入る。Tprog = 35℃では、スイッチング温度は約42℃ (図4a と4b) であり、Tprog = 55℃ では、スイッチング温度は約56℃ (図4c と4d) である。この実験から、再プログラム可能な過熱スイッチ(形状記憶素材を変更することなく予め決定した様々な温度でスイッチが入るもの) を作り出せることから、本発明による方法の応用可能性が示されている。]
[0045] 本発明によるプログラム方法の更なる潜在的な用途は、知的な医療デバイスに関係するものであり、とりわけ、最小限の侵襲的な外科治療のための器具に関係するものである。この目的のために、「知的」ケーブルは、90°に曲がった永久形状のPDLCL060から作製され、そして、Tprog = 37℃ 及び55℃で、直線的な一時的形状に変換した。37℃でプログラムしたケーブルの曲げた形状への回復が、体温と同じくらいに低い温度で起こった一方で、55℃でプログラムしたケーブルの場合は、永久形状の回復は50℃を超える場合にのみ観察された (結果は示さない) 。この方法において、目的とするプログラム温度を選択することで、外科医は、プログラムされ且つ既に埋め込まれている物品を、体温の結果として形状転移を行わせるか又は体温をわずかに超えるまで積極的に加熱をした後のみ形状転移を行わせるかを決定することができる。]
[0046] 実施例 2: 半結晶スイッチングセグメントを有するPDCマルチブロックコポリマー
温度記憶効果を、ポリ-ε-カプロラクトンスイッチングセグメント (Mn = 2000 g/mol; Tm = 35℃) 及びポリ-p-ジオキサノンハードセグメント(Mn = 4500 g/mol; Tm = 89℃) を有するPDC マルチブロックコポリマーにおいて、更に実証した。形状記憶実験は、実施例1で述べたPDLCLコポリマーに関する調査と同様に、プログラム温度Tprog = 25℃、Tprog = 37℃ 及びTprog = 50℃ で実施した (表 4) 。図5は応力-温度及び歪-温度曲線の結果を示す。これらの実験からも、用いたプログラム温度と得られたスイッチング温度との間に直線関係、即ち温度記憶効果が観察される。]
[0047] ]
[0048] 実施例 3:テコフレックス(Tecoflex) EG72D、アモルファススイッチングセグメントを有するマルチブロックコポリマー
ガラス転移温度(Tg = 74℃) をもつアモルファススイッチングセグメントを有する形状記憶ポリマーの温度記憶効果は、ポリエーテルウレタンであるテコフレックス (Tecoflex) を例(Mohr外, PNAS 2006, 103, 3540-3545に記載) として実証した。形状記憶実験に相当する実験では、4連続サイクルにおけるプログラム温度を、80℃から60℃、40℃及び25℃まで下げた。パラメータεm = 150%、Tlow= 0℃ 及びThigh= 90℃ は、変更しなかった。実施例1 及び2と同様に、両方の回復係数(応力かからない条件下及び負荷のかかる条件下) が、元の形状への回復について、テコフレックス (Tecoflex) に対して用いられた。これらの実験においても、温度記憶は、用いたプログラム温度 Tprogと得られたスイッチング温度Tswitch 又はTσ,maxとの間の直線関係によって示すことができた(図6を参照)。スイッチング過程中に生じた1.5 MPa (Tprog = 80℃の時)から6.7 MPa (Tprog = 25℃の時) への力の大幅な増加もまた、プログラム温度の減少とともに見られた (表5)。]
[0049] ]
[0050] 実施例 4: 半結晶PCLスイッチングセグメント及び磁鉄ナノ粒子をもつPDCマルチブロックコポリマーを有する複合体
温度記憶効果は、ポリ-ε-カプロラクトンスイッチングセグメント (Mn = 2000 g/mol; Tm = 35℃) 及び磁鉄ナノ粒子 (Yakacki外, Biomaterials 2007, 28, 2255-2263に記載) をもつPDCからなる、種々の組成の複合体 (質量あたり2%、質量あたり5%、質量あたり10%) の場合でも実証された。形状記憶実験は、実施例1で述べたPDLCLコポリマーに関する調査と同様に、プログラム温度Tprog = 25℃、及びTprog = 55℃ (全ての実験においてεm = 150%、Tlow= 0℃、Thigh = 65℃ で一定)で実施した。全ての実験において、観察された各スイッチング温度は複合体の組成に独立であった。Tprog = 25℃の場合、得られるスイッチング温度 Tswitch は、約37℃ であり、Tσ,max は38℃から40℃であった。 Tprog = 55℃で、それ相応のより高いスイッチング温度 Tswitch (約42℃) 及びTσ,max (57℃から60℃) が、期待通り、観察可能であった (図7と表6を参照)。]
[0051] ]
[0052] 実施例 5: PDLCLマルチブロックコポリマーを有する発泡体
合成:
PDLCL 発泡体の調製は、超臨界CO2 を用いた圧力クエンチ過程によって行われる (Singh外, Biomaterials 2004. 25, 2611-2617 又は Weigel外, Expert Rev. Med. Devices 2006, 3 (6), 835-851を参照) 。実施例1に従いPPDLを40% の比率で含有するマルチブロックコポリマーを使用した(Mn = 100 000 g/mol)。合成は、85℃、72時間、炭酸ジメチル中においてテレケリックマクロジオールポリ-ε-カプロラクトン(Mn = 3000 g/mol; Tm = 48℃) 及びポリ-ω-デカドラクトン (Mn = 4300 g/mol; Tm = 89℃) と1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI) を反応させることによって行われた。走査電子顕微鏡(SEM)を用いた骨格の特徴解析から、閉鎖孔及び開放孔構造の両方がPDLCL 発泡体に示される。閉鎖孔構造の比率は約50%であった。 発泡体の多孔率は、約90% (濃度 = 0.1 g/mol)であった。]
[0053] PDLCL発泡体の温度記憶:
形状記憶実験をプログラム方法と温度及び形状記憶効果の回復又は誘発とに分けて、行った。回復の調査は、事実上、応力のかからない条件下で行った。プログラム中では、試験試料をまず最初にプログラム温度Tprog まで加熱し、次に、この温度で予め決定した伸長(εm = 50%、定常パラメータ) まで圧縮した。立方体骨格の初期長を伸長100%とした。続いて、Tlow = 0℃ (定数パラメータ) まで冷却することで一時的形状を固定した。続く回復過程は、試験試料が元の永久形状に回復するためのものであって、Thigh = 75℃ (定数パラメータ) まで加熱することで行われた。回復が起きた時のスイッチング温度Tswitch 及び温度範囲ΔTrecを測定した。バルク材料(実施例1-4) でのTME実験とは対照的に、より低い加熱速度である1 K/minを発泡体の場合に用いた。これは発泡体の熱伝導性がより低いためである。TME実験の実施において、Tprogは、3連続サイクルの間で変化させた (サイクル1: Tprog = 60℃; サイクル2: Tprog = 40℃; サイクル3: Tprog = 60℃) 。伸長-温度曲線であって、サイクル1 及び2における応力のかからない回復に関するものが、図8に示され、そしてTswitchを決定するための近似曲線の一次導関数を重ね合わせている。驚くべきことに、この実験から、PDLCL骨格を例として、温度記憶効果を生じさせる方法が発泡体様の成形品に対して機能することも実証される。Tprog = 40℃の時、得られるスイッチング温度は、Tswitch = 62.3℃ であり、Tprog = 60℃で、それ相応のより高いスイッチング温度 Tswitch = 68.5℃ が、サイクル1 及びサイクル3の時に観察可能であった。 実施例1 (PDLCL) のように、用いたTprog と得られたTswitchとの実質的な直線関係は、熱力学的履歴には独立であって、PDLCL発泡体の場合でも示された。バルク材料 (実施例1) での結果と比較して、観察されたスイッチング温度は約10 K 高く、これは多孔質発泡体の熱伝導性がバルク材料よりも低いためである。]
[0054] 実施例 6: 2つの結晶スイッチングセグメントを有するPPDLT-co-PCLT多相ポリマーネットワーク
本発明による方法を用いることで得られるスイッチング範囲は、実施例1によれば、PDLCLマルチブロックコポリマーにおけるPCL微結晶(Kristallite) のスイッチング温度Tmの範囲によって制限される。この温度記憶範囲を拡張する目的で、永久形状の固定のための共有結合ネットワークポイントをPPDL 微結晶の代わりとしてポリマーに導入した。このようにして、PPDL 微結晶が、PDLCL熱可塑性樹脂における追加のスイッチングセグメントとして利用可能である。]
[0055] 合成:
この目的のために、一連の多相ポリマーネットワーク(PPDLT-co-PCLT) は、星状(star-like)ヒドロキシ-テレケリックオリゴ(ω-ペンタデカラクトン)トリオール(OPDLT, Mn = 4000 g・mol-1) とオリゴ (ε-カプロラクトン)テトラオール(OCLT(4), Mn = 4000 g・mol-1 又は OCLT(8), Mn = 8000 g・mol-1) を 2,2(4),4-トリメチルヘキサンジイソシアネート(TMDI) で共縮合することによって調製した。開環重合において、 OCL-トリオール (Mn = 300 g・mol-1) を、PPDLT合成のための3つのアームを持つ開始剤として利用し、ペンタエリスリトールを、PCLT合成のための4つのアームを持つ開始剤として利用した。星状前駆体の調製のために、化学量論的モノマー/開始剤比を調整し、Mnが約4000 g・mol-1であるPPDLT 及びPCLT前駆体が得られるようにした。前駆体の合成は、バルクバッチ(bulk batch) により 130℃の窒素雰囲気下で実施した (詳細: Alteheld外, Angew. Chem. Int. Ed. 2005 (44), 1188 et seq.) 。Mn = 8000 g・mol-1のPCLT(8) を、市販品として入手した (Solvay Caprolactones)。ポリマーネットワークの合成を溶液中で行った。この目的のために、ヒドロキシ-テレケリック前駆体は、ジクロロエタンに溶解し、混合した (窒素雰囲気下)。 規定量のTMDIを、室温で撹拌しながら加えた。 5 分間さらに撹拌した後、混合物をテフロン(登録商標)皿に注ぎ、60℃に維持した (ポリマー形成の溶媒を完全に蒸発させる目的で、24時間、窒素気流条件下)。架橋のため、フィルムを80℃で4日間の減圧条件下に維持した。重合の後、サンプルは未変換物質を除く目的でクロロホルムにより抽出した。]
[0056] 従って、製造された全ての多相ポリマーネットワークは、92から94%の高いゲル比率を有していた。事実上、前駆体がポリマーネットワークに完全に取り込まれていること示している。結晶PCL 及びPPDLドメインに帰結する2つの別個の融解転移が、DSCサーモグラムにおいて観察された。]
実施例

[0057] PPDLT-co-PCL多相ポリマーネットワークの温度記憶:
多相ポリマーネットワークにおける温度記憶特性を、周期的熱力学実験で再度調査した。この実験には、熱力学的プログラム(εm = 150%, Tlow = 0℃ 及び Thigh = 115℃) とそれに続く負荷のかからない条件下 (σ = 0 MPa) における永久形状への回復が含まれており、Tprog を連続サイクルで30℃ から60℃ そして90℃へと変化させた。全てのポリマーネットワークシステムが、97から100%までの範囲でRf値を示す一方で、Rf 値は、プログラム温度Tprog が81% (Tprog = 30℃) から99% (Tprog = 90℃) まで上がるに従い増加した。Tswitchは、2つの融解転移の温度範囲内で正確にTprogを変更することによってコントロールされ、ネットワーク組成に依存せず、Tswitch = 29℃ (Tprog = 30℃)、Tswitch = 59℃ (Tprog = 60℃) 及び Tswitch = 75-81℃ (Tprog = 90℃) のスイッチング温度を有していた。実施例1で熱可塑性マルチブロックコポリマーとは対照的に、Tprog の上昇で、回復温度範囲Δ Trecが40から15 K に減少することが、多相ポリマーネットワークで観察された。これは、熱力学的プログラム中で2つの同形結晶PPDL 及びPCLドメインによる貢献であると説明することができる。]
权利要求:

請求項1
形状記憶ポリマー又はその複合素材をプログラムする方法であって、前記記憶ポリマー又は前記複合材料は、少なくとも1つの熱相転移と共有結合及び/又は非共有結合の架橋点を有する少なくとも1つのスイッチングセグメントを備え、そのプログラムの後、前記形状記憶ポリマーは、少なくとも前記ポリマーのスイッチング温度(Tswitch, Tσmax) に相当する温度 (Thigh) まで温度を上げた後に、プログラムされた一時的形状(A) からその永久形状(B) までの転移することが可能であって、前記プログラムは、 (a)所望のスイッチング温度 (Tswitch, Tσmax) の関数としてプログラム温度(Tprog)を予め決定する工程と、 (b)前記形状記憶ポリマーを前記予め決定したプログラム温度 (Tprog) まで加熱し、前記ポリマーを強制成形することで一時的形状に相当する形状に変形させる工程と、 (c)前記ポリマーを強制成形を維持しつつ前記所望のスイッチング温度 (Tswitch, Tσmax)未満の温度に冷却する工程と、を含む方法。
請求項2
前記プログラム温度(Tprog) は、前記プログラム温度 (Tprog) と前記スイッチング温度(Tswitch, Tσmax) との間の、実験的に決定された数学的関係を用いることで計算的に予め決定されることを特徴とする請求項1記載の方法。
請求項3
前記プログラム温度(Tprog) は、プログラム温度 (Tprog) とスイッチング温度(Tswitch, Tσmax) を含むパラメータ対を有する、実験的に決定された特徴的なダイアグラムを用いることで予め決定されることを特徴とする請求項1記載の方法。
請求項4
前記プログラムする方法は、所定の形状記憶ポリマーに対して複数回連続して実施され、種々のプログラム温度(Tprog) を個々のプログラムサイクルに用いることで、種々のスイッチング温度(Tswitch, Tσmax) がプログラムされることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の方法。
請求項5
前記プログラムする方法は、組成が同一である複数の形状記憶ポリマーに対して実施され、それぞれの場合に異なるプログラム温度(Tprog) が個々の形状記憶ポリマーに対して用いられ、従って種々のスイッチング温度(Tswitch, Tσmax) がプログラムされることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の方法。
請求項6
前記形状記憶ポリマーのスイッチングセグメントは、融解転移(Tm) を有する半結晶セグメント又は、ガラス転移(Tg) を有するアモルファスセグメントであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の方法。
請求項7
前記プログラム温度Tprogは、少なくとも1つのスイッチングセグメントにおける熱力学的相転移温度Ttransの前後、少なくとも ± 20 Kの範囲から選択されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の方法。
請求項8
2つのスイッチングセグメントと2つの熱力学的相転移温度Ttrans,A 及び Ttrans,Bを有する形状記憶ポリマーの場合において、前記プログラム温度Tprog が少なくともTtrans,A ± 20 K から Ttrans,B ± 20 K の範囲から選択されることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の方法。
請求項9
無孔材又は多孔、開放気孔又は密閉気孔材を、形状記憶ポリマーとして用いることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の方法。
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